それでは前回の続きとして、MDR-SA3000の装着感や音質についてレビューしてみよう。
まず装着感だが、まぁまぁといったところである。
ヘッドホンの装着感に関しては、やはりAudio-Technicaのヘッドホンと比べると少し落ちる。
頭の部分の違和感はほとんど無いのだが、耳の部分に当たる力が、下のほうが強めになるようであって、長時間していると少し痛くなるような気がする。
ただ、上の部分は当たりが弱いため、メガネをしていても痛くなることは無い。
音質だが、ココでは次のヘッドホンと比較してみる。
・Audio-Technica ATH-AD7
・SENNHEISER HD600
Audio-Technica ATH-AD7は既に製造中止であるが、ベストセラーとなった日本製オープン・エア・ヘッドホンであり、値段(実売12,800円くらい)からすると非常に評判の良かったヘッドホンである。
SENNHEISER HD600も製造中止しており、既に持っていないので、正確な比較はできないが、記憶で書いてみる。これは前回も言ったように、ダイナミック型ヘッドホン で一番音が良いと言われていた有名なヘッドホンである。日本での定価は確か69,800円だったと思う。
個人的な主観で順位付けさせてもらうと、
SA3000 > HD600 >> ATH-AD7
という感じである。
これらヘッドホンの中で、SA3000が最もクセが無く、素直で感じの良い音がすると思う。特に高音部分の伸びは素晴らしく、今までHD600が最高だと思っていたが、これはその上を行っている。
HD600の高音は素晴らしいのだが、恐らく8kHz前後だろうか、それなりに大きく周波数特性が上下しているような感じで、クセが結構強くある。 (・Θ・)がHD600を初めて聞いた瞬間の感想が、「高い音にクセがあるな〜」だったくらいなのだ。ただ、そのクセがクラシックなんかではかえって向い ているようで、良い感じの音に聞こえたりもするのだが、明らかにクセであり、素直な音ではなかった。
SA3000の高音はどこまでもフラットに伸びている感じで、非常に自然である。HD600と比べると高音の出は若干弱いようにも思うが、全く不足に感じることもなく、とにかく自然な感じの高音が出ている。
SA1000という下位モデルの高音はHD600に似ている感じで、若干クセがあるキツい感じの音がしていた。
SA3000は低音から高音まで、全体的にフラットな感じで、とにかく音色にクセがないのが最大の特徴だ。
分類ではオープンエアに分類されているが、完全にオープンエア構造なわけではなく、見た目的には密閉型みたいな感じなのだが、その密閉しているバッフルがミクロの穴が開いているものらしく、オープンエアのようにクセのない特性を実現しているらしい。
事実上密閉構造をしているせいか、低音はなかなか良く出ている。ただ、高音と比べると低音は若干弱い感じがする。そのため、低音はEQで持ち上げてやると(・Θ・)の好みの音質になる。
(・Θ・)はかなり重低音よりのBOSE系サウンドが好きで、フラット信者ではない。
そもそも人間の耳は音量によりラウドネス特性があるわけで、余程大音量で聞いているのではない限り、原音と比べて聞こえる音の低音や高音成分が不足して聞こえるものである。
また、1/fゆらぎを考えると、低音よりのBOSE系サウンドは理にかなっていて、個人的には好きなので、とにかく何を選ぶときも低音を重視している。
HD600の最大の不満はそこで、とにかく低音が弱かった。SA3000はブーストしてやると、50Hz以下のような相当な重低音でも素直に出てくれるので、これはかなり良いヘッドホンだと思う。
こんな感じで、(・Θ・)の主観で言わせてもらうと、SA3000はHD600よりも音質的に上だと思う。遂に日本製もここまで来たか、という印象だ。
音質でSA3000に文句をつけるのは難しいくらいだが、強いて言うとするなら、低音が少し弱いというところだろうか。
あと、感度が悪い。インピーダンスは70Ωとさほどでもないのだが、感度が悪く、元々大きな音が出ないような装置につなぐと、ボリュームをかなり上げないといけない。
QUALIA 010の440kJマグネット用に設計してあるので、360kJマグネットにしたせいで感度が悪くなっているのかもしれない。
全体的にはこの価格帯のヘッドホンとしてはかなりオススメである。
今までに数え切れないほど買ったヘッドホンの中で、間違いなく最も音質的に気に入ったヘッドホンである。