いもむし

1匹のいもむしが、りんごの木に住んでいました。
ある嵐の晩、いもむしはりんごの実ごと吹き飛ばされ、川に落っこちてしまいました。

「ぼくはきっと、このまま海に流されて魚か鳥に食べられるか、干からびて死んでしまうんだろうな。」
そう思うととても悲しい気持ちになりました。

「でも今できることをしよう。今日だけとりあえず生きてみよう。」
そう決めると彼は、自分の乗っかっているりんごの実を少しずつかじり始めました。
りんごの船が転覆しないようにバランスをとりながら、ゆっくりと。

やがてりんごの実は皮一枚残すだけとなりました。
あとひとかじりしたらきっと穴があいて、りんごの船は沈んでしまうでしょう。

いもむしは思いました。

「もう、ぼくのできることはないな。もうやれることはやったよ。」
そうつぶやくとじっとして動かなくなりました。

数日が過ぎて、そのりんごの船から一匹の美しい蝶が飛び立ちました。

(グリム童話より)

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3 Responses to “いもむし”

  1. 州*‘ o‘リ より:

    そうか…イモムシは蝶に食べられてしまったか…かわいそうに

  2. しゅうじ より:

    州*‘ o‘リ のコメントは面白いね

  3. (=゚ω゚) より:

    蝶に食べられたいね

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