ヤフオクでSONY CCD-V5000というビデオカメラを買ってみた。
SONY CCD-V5000
なんだかんだで、今手元に2台あるんだが(汗
これはもう今から15年くらい前のビデオカメラで、当時のHi8規格の民生用最高級のビデオカメラである。
見た目はまるで業務用のBetacamのような姿をしており、ほとんどの機能がマニュアルで設定できるようになっている。
CCDは単板だが、2/3インチと大型のものが用いられている。
また、Hi8のムービータイプは音声は大抵はAFM(Hi-Fi)のみだが、これはPCMにも対応している。
しかし、落札したものが2台ともジャンクで、動作がダメということのものであった。
どうやら完動品はほとんど無いらしい。
実際に電源を入れてみるが、まずカメラ側の映像は流れてしまい、まともに表示されない。
ビデオ側の映像は全く表示されず、真っ暗なまま。
ビデオの音声は出ているが、カメラの音声はレベル調整を自動にすると右が小さくなってしまう(マニュアルではOK)。
と、ほとんどまともに動かないものであった。
とりあえずバラバラにしてみるが、既にコンデンサの液漏れのニオイが漂いまくる・・・
基板が多い
この当時、気合いを入れて作られているらしく、メイン基板は4階建て。この他、カメラ部にも基板が5枚に囲まれている。
他にも電源部基板が2枚、操作部基板多数・・・と、それらがケーブルで接続されているため、ケーブルだけでも何十本も。
当時33万円したカメラらしいが、さすがの構造になっている。
しかし、見るところ見るところ、コンデンサが液漏れしまくっている。
金色のコンデンサの底から液漏れ
↑は電源部のコンデンサだが、金色のものは220uF/16V 105℃であり、これが3つとも全て液漏れしている。
他にも、金色のコンデンサが電源関連らしきところの平滑用として沢山つかわれているのだが、一つ残らず液漏れしている・・・
液が漏れてるだけではなく、その液のせいで周りの基板が腐食しまくっているし、他の部品も腐食したりしている・・・
さらに分解していくと、とんでもないことになっていた!
なんと、表面実装タイプの電解コンデンサが全て液漏れ!
一見何ともなく見えるコンデンサだが
外して見ると、液漏れの跡が・・・
裏側はこの惨状
信頼性の高いリードタイプの小型電解コンデンサに交換する。
こんな感じで数十個の表面実装タイプのコンデンサを交換した。
CCD部にも表面実装タイプのコンデンサが。当然漏れていた。
表面実装電解コンデンサは、特にカメラ部に大量に使われている。小さく作るためだろうが、お陰で物凄く交換しにくい場所に何十個もこういうのが付いていて、さわれば取れるし、そのままでは腐食が進んでしまうので、アルコールやフラックス洗浄剤などで、基板表面をクリーニングしたりしている。
もうこの表面実装タイプのコンデンサはどうしようもないね。
全てがダメになってるし、ひどいモノはもうちょっとぶつかっただけで「ポロッ」と取れる始末。
なぜ2台あるのかというと、こんな具合に基板を外した振動だけでポロポロ取れてしまうので、元のコンデンサがどれだったか分からなくなり、どうしようもないので、どうせ安いので、コンデンサの容量や配線(余りにも大量に複雑に配線が入り組んでいるため、組み立てるときに一部分からなくなったw)を調べるために、もう一台買ってみたのであった。
せっかくなので2台とも直しているが、両方とも全く同じ状態。
この漏れた電解液がまた基板を腐食させていて、パターンが無くなっているところもあるし、昨日なんかは近くにあったチップ抵抗が腐食でポロッと取れてしまったw
どうやら抵抗値を測ったら39kΩのようだったので、今日千石で新品のチップ抵抗を買ってきた。
こんな感じで1台目はほとんどのコンデンサを交換してみたが、どうにも交換できない部分がある。
というのも、非常に特殊なコンデンサが所々使われているからなのだ。
まず、最初にもあった金色のコンデンサで、120uFのコンデンサが使われているのだが、こんな容量のものは売ってない。
DC-DCコンバータ部
他にも、上のDC-DCコンバータが2つあり、それぞれカメラ部用と映像処理部用の電源の昇圧に使われているようだが、この中に、高さ5mmの小型タイプで105℃の特殊なコンデンサが多々使われている。
それぞれ、27μF、39μF、56μFという、何とも聞いたことのない容量のものが使われている。
コンデンサに詳しくないと分からないかもしれないが、(・Θ・)は今まで無数のコンデンサを見てきたが、こんな容量のコンデンサは見たことがない。
基本的に、10縲怩P00μFの範囲としては10μF,22μF、33μF、47μFである。それ以外の容量が必要なときは、これらを組み合わせて作る。というわけで、これ以外はまず売ってない。
こりゃどうしようもないなということで、ソニーにこのDC-DCコンバータユニットごと注文しようと、日曜日に秋葉原のソニーサービスに行ってみた。
・・・が!既にこの2つは部品供給終了になっていた。
他にもマイクのスポンジだとか、カセットのフタ(割れている)だとか、ほとんどの部品が終了になっており、手に入らない状態になっていた。
DC-DCコンバータはユニット単体での注文しかできないようであるため、自分で分解して内部のコンデンサを変えるしかないのだが、上記の容量のものは聞いたことがない。
120μFの金色コンデンサは単品で注文できたので、それは注文して今日もらいに行ってきた。ちなみにこのコンデンサは黒色のものになっており、別のモノに変更になっていた。
金色コンデンサは全て液漏れしていたので、また同じものだったらどうするかな縲怩ニ思っていたのだが、別の種類になっていたので、今度のは大丈夫かもしれない。ちなみに1個100円で2003年製だった。
DC-DCコンバータ用の27μF、39μF、56μFといった特殊なコンデンサはないかと思い、一応秋葉原のコンデンサ専門店海神無線で聞いてみるが
海神無線:「長いことコンデンサを専門でやってるが、そんな容量のコンデンサは聞いたことがない。当然扱ってない。」
と言われた。
専門店ですら聞いたことがないような特殊なものなのだ。
このDC-DCコンバータ部がこれまた調子悪いようで、まともに電圧が出力できていないらしく、コンデンサはダメになっていると思われる。
ネットで調べたところ、日本での入手はRSオンラインなどを含めて全滅のようだが、アメリカのdigi-keyでは、なんとこれら特殊な容量のコンデンサを注文できるらしいことが分かった。
SuperH/SH4を注文しなければいけないところだったので、そこで手に入れようかと思っている。
しかし、この変な容量のコンデンサは何なのだろうか?
実は、良く考えてみると、これは全て標準の容量に20%増しの容量になっていることが分かる。
22μF*1.2→27μF
33μF*1.2→39μF
47μF*1.2→56μF
100μF*1.2→120μF
この20%増し容量というのが何かのポイントなのだろう。
(・Θ・)の予想だが、普通アルミ電解コンデンサの容量値の誤差範囲は±20%ということになっている。
で、20%増量ということは、例えば設計上最低でも47μFの容量を確保していてもらわないと困るような回路では、最初から設定容量が20%UPのものであれば、最低47μFが確保されることになる。
そんなわけで、これらコンデンサは、最低でも設計容量以上を確保しておいてくれないと困るシビアなところに使われているのではないだろうか?
本当にそうなら良いのだが。
何にしても特殊な容量で困る。
他にも0.68μF、68μFなども使われてる。これらも売ってないのでアメリカから購入するようだ。
とりあえずある程度交換したところでは、ビデオの録画は正常に動くようになったようだ。
再生はDC-DCコンバータの電圧が安定しないらしく、時々おかしくなるが、一応動くようにはなった。
カメラ部は電圧が不安定なため、映像は出るが不安定だ。
しかし、この状態からすると、この機種はほとんど全部がこんな状態になっていることだろう。部品もほとんどなくなっているため、メーカー修理は不能だし、300個くらいあるコンデンサを変えてくれるところもないだろうから、動作するこの機種は、かなりレア物になることだろう。
州*‘ o‘リ<もにっきさんのしもんきゃぷちゃしたもーん
州*‘ o‘リ<かめらこぞうVSしかーみせておくれ
もにっきを拝見してから、私もこのカメラの修理を楽しんでいますが、電解液での腐食が酷いですね!貴殿の情報が大変助かりました!digi-keyでコンデンサを購入しまして、交換していますが難しさに四苦八苦しています。修理の注意点が有りましたらお教えください。宜しくお願いします。
こんにちは!
藁をもすがる思いで書いてます。
子供の成長記録を撮り溜めたHi8テープを、当時から所有していた
V5000で再生しようとしたところ、再生から15分ぐらいのところで
音声が出なくなりました。
メーカーに修理に出すも、音声基盤の故障で修理不可で戻ってきてしまいました。
この修理、何とかお願いするわけにはいかないでしょうか?