少し前にSONY EDV-5000というビデオを落札した。

これは、ED Betaの廉価版の機種で、EDV-9000と同時に発売されたものである。

EDV-5000（上）とEDV-9000（下）

当時の定価はEDV-5000は18万円くらいで、EDV-9000は298,000円くらいである。
EDV-9000から編集機能などを取り除いたED Betaの廉価版がEDV-5000である。

このEDV-5000は、業務用に購入されたもので、ほとんど使用していないということであった。

届いて良く見てみると、後ろから変な電線が出ていて、それはイジェクトスイッチに接続されていた。

何らかの業務用に使用したものだろう。

使用量はかなり少ないらしく、蛍光表示管は新品のようにきれいに光るし、本体も傷はほとんどない。

内部を見てみると、ピンチローラの状態やヘッドの状態からすると、１００時間くらい使っただろうか？という感じだった。

これは特に不具合はなく、一応正常に動く。

強いて言えば、EDV-9000で録画したテープを再生すると、若干トラッキングがズレているので、少し劣化があるか？という程度だが、これは調整の問題でもあるので、そんなものかもしれない。

このEDV-5000のヘッドは既に部品が終了しており、メーカー修理やメンテナンスはほとんど受けられない状態なため、ヤフオクでも相場が安い。

そのため、新品時に近い性能を維持しているEDV-5000は非常に珍しい。

とは言っても、すでに２０年近く前のものなので、いつも通りコンデンサはダメになっていると思われるため、可能な限り、コンデンサの交換をした。

Beta hi-fiオーディオ基板

Beta hi-fi基板には、MUSEやCerafine等のオーディオ用コンデンサが用いられていたため、それは全て同じMUSEやCerafine等のオーディオコンデンサに交換した。

最近MUSE Fine Goldという１ランク上のコンデンサが発売されたので、一部分はFine Goldを使用した。

その他、音の通り道であっても、普通のコンデンサが用いられている部分もあったため、その辺はMUSEにしておいた。

写真では分かりにくいが、緑色がＭＵＳＥ、赤色がCerafine、金色がFine Goldである。

他にも電源基板、サーボ基板、デジタル・ピクチャー用基板、映像基板、ヘッドアンプ基板など、ほぼ全てのコンデンサを交換した。

リードタイプのコンデンサは液漏れしているものは無かったが、裏側を見ると、ゴムの底部分が白くなっていて、内部の電解液がドライアップしているっぽいものが多数あった。

ほとんどがリードタイプのコンデンサなので、液漏れはないと思っていたが、キャプスタンモータの制御基板に３つのチップコンデンサが用いられており、それは液漏れをしていた。

液漏れしているチップコンデンサ

２つ外してあって、外した部分に汚くゴミみたいなのが付いてるが、それが漏れた電解液の跡である。パターンが腐食するまではいってなかったが、コンデンサ自体はかなり性能低下していることと思われる。

これを交換したところ、トラッキングはほぼEDV-9000と同じになった。やはりコンデンサ劣化で微妙に回転スピードが変わっていたのだろう。

メカニズム部分

メカニズムの部分も徹底的にメンテナンスしておいた。
具体的には、以下の部品を交換した。

・巻き戻しリール
・早送りリール
・振り子ユニット
・テンションレギュレータ・バンド
・テンション・レギュレータ・アーム
・ピンチローラ
・タイミングベルト

劣化する部分は全て交換した。
リールや振り子ユニットはまだ大丈夫のようだったが、交換してみると、早送りや巻き戻しの音がずっと小さくなったので、やはりギアが痩せたりしていたのだろう。

これで、メカニズム部分は完璧。電子回路部分も可能な限り最新のコンデンサに交換済みで完璧と、もしかしたら世界で一番完璧なEDV-5000かもしれない。

画質はEDV-9000とほとんど同じだが、やはり微妙に差がある。僅かだが、比べてみると色の安定性などが少し劣っている。

しかし、何にしてもS-VHSよりも美しく、まるでHDDレコーダの映像を見ているかのような美しさである。

コンデンサ交換も終わり、テストで今日のＭステを録画した。
以下はその再生映像をキャプチャしたものである。