EV-BS3000

ヤフオクで、SONY EV-BS3000というHi8ビデオ(ジャンク品)を落札した。

またつまらぬものを買ってしまった・・・


SONY EV-BS3000

これは93年製だった。
当時定価が198,000円のHi8ビデオデッキで最高級だったものである。

PCM対応のHi8デッキで、前回のCCD-V5000と同様にデジタル画像処理回路が搭載されており、TBCやデジタルNR、デジタルくし型フィルターなどが搭載されている。

また、BSチューナーも搭載されている。

毎度のことながらジャンク品であり、「電源は入るが再生ができない」と書いてあるものだった。

届いたものを試してみると、再生ボタンを押すと、なんと録画状態に入ってしまった!

ストップボタンを押しても止まらず、イジェクトボタンもきかずに、無理やり電源を切って止めた。

再生できないというより、まず再生動作に入らず録画動作に入ってしまっていた。

どこかの断線が原因ではないかと調べたところ、スイッチからつながっている基板のパターンが、一部断線していた。

これは、そのパターンの近くに停電補償用のスーパーキャパシタがあり、それが液漏れをして、それによりパターンが腐食して切れていたのであった。

それをつないだところ、ボタンの操作は問題なく動くようになった・・・が!再生はできなかった。

画面はブルースクリーンのまま、何も映像が出てこない。

サーチにしてもやはり何も画像がでないので、ヘッドアンプを疑い、それをバラしてみると・・・


ヘッドアンプ

いつもながらのチップ電解コンデンサが使われており、液漏れしてまわりがボロボロになっている・・・

コンデンサを交換しながらパターンを調べたところ、一箇所スルーホールが断線しているところを見つけた。


コンデンサ交換後

↑はコンデンサを交換して、黄色い線でスルーホールの断線を接続したものである。

ここまでやったところ、映像は復活し、とりあえず全て正常に動作するようになった。

ここまででも一応直ってはいるのだが、まだ液漏れしてるコンデンサがあるといけないので、他の部分もいろいろと調べてみると、デジタル処理回路に、あのチップ電解コンデンサが大量に使われており、それがまた全部液漏れしていた。

もういつものことなので驚きもしないがw


デジタル映像処理基板

↑は全部コンデンサを交換した後の写真である。
TKのチップ電解も手元にあるのだが、どうにもチップ電解は漏れるというイメージがあるため、小型リードタイプに交換している。

これで、画像も前より少しきれいな感じで出るようになった。

他も見てみるが、チップ電解は使われていないため、サーボ回路のコンデンサを交換して、テープ走行を安定化させて、大体今回は終わりかな。1日で終わってしまったな、などと思いつつ、電源を見る。

電源はこの頃からトランス式からスイッチングレギュレータに変更されている。

普段は時計として24時間電源が入れられっぱなしなので、電源部のコンデンサも交換してやるか、と思って見てみると・・・


メイン電源部

やけに細長い高性能そうなコンデンサが付いている。
Long Lifeとか書いてあって、見るからに高級そうなものがつけられている。

よく見ると、ELNA RSGというコンデンサで、これは悪名高き四級塩電解液を使用した低ESR高信頼性コンデンサであることが分かった!

この四級塩電解液というのは、80年代後半に登場し、コンデンサ用電解液として非常に高性能であったため、低ESRの高性能コンデンサに大量に用いられたのであったが、後に構造上コンデンサのゴムや端子を腐食させ、液漏れを発生し、さらにこの電解液が基板を腐食しショーさせる、という事故が多発したため、大問題となり、数年で市場から消えたコンデンサである。

多分今はもう四級塩電解液を使ったコンデンサは作られていないと思う。

で、このELNA RSGのほか、ニチコンのものも四級塩電解液タイプが使われていた!

しかも、それぞれ外してみると、微妙に液漏れが始まっているではないかっ!!!


ELNA RSGシリーズ 1000uF 16V

↑1000uF 16Vでこんなに長いコンデンサは普通は無い。
コンデンサは体積が大きければ大きいほどESRを低くできるため、大きなコンデンサであればあるほど(この場合長ければ長いほど)性能は高いと考えてよい。

というわけで、見るからに高性能で高そうなコンデンサだが、四級塩電解液コンデンサを見て放置するわけにはいかないので、さっさと交換することにした。

四級塩電解液コンデンサは非常にESRが低く、高性能なものだと聞いたことはあるが、既にデータシートはなくなっているため、どの程度の性能なのかは分からなかった。

スイッチングレギュレータの2次平滑用として用いられているため、高周波のESRが低く、さらに大リプル電流にも耐えられるタイプなのだろうということで、とりあえず手元にあるPanasonic FCという低ESR高信頼性コンデンサを用いて交換してみた。

普通の低ESRコンデンサの部分はTKのUTWRZという低ESR高信頼性コンデンサを用いた。


手持ちのコンデンサを使って交換後(黒はPanasonic FC、茶色はTK UTWRZ)

四級塩電解液コンデンサは超高性能だということなので、通常の低ESR高信頼性コンデンサではもしかすると性能不足かもしれないが、まぁ一応最新の低ESRコンデンサなので良いだろう、と思ったのであった。

これで試していたところ・・・ん!?

なんか時々再生後停止すると、巻き戻しとかができないときがあるぞ!?
あれ!?イジェクトもできなくなったぞ!?

電源を入れなおすと直るのだが、10分くらい再生して停止してから巻き戻そうとすると、サーボ回路が反応しなくなるような変な現象が発生した。

電源回路をバラしてからこうなったので、コネクタを抜いたりしたときにハンダクラックでも起こしたかと思い、半田付けをしなおしてみるが、やはり改善しない。

どうやら、サーボ関連の制御回路が暴走しているような、そんな感じの症状だ。

もしかしたら、スイッチング・レギュレータの交換したコンデンサの性能不足で高周波ノイズが電源に乗り、それでデジタル制御回路が誤動作をしているのか!?

しかし、画面はきれいにでてるし音も全く問題ない。もちろん電圧も問題はない。

だが、電源回路のコンデンサ交換後にこうなったので、コンデンサの性能不足の可能性の疑いは残る。

というわけで、秋葉原でマザーボード用の超低ESRコンデンサ「日本ケミコンKZH & KZE」を買ってきた。

これはスイッチング・レギュレータ用を超えた、CPU用の超高性能コンデンサである。

最初はニチコンPWあたりのスイッチング・レギュレータ用にしようかと思ったが、マザーボード用超低ESRコンデンサにしても1個あたり値段が10~20円くらいしか違わなかったため、どうせならと思い超高性能コンデンサにした。


超低ESRコンデンサ 日本ケミコンKZH & KZE

TKの低ESR高信頼性コンデンサなら、これだけ買っても300円くらいかもしれないが、これは1200円くらいした・・・。高い。


マザーボード用超高性能コンデンサに交換後(左側の茶色や緑色のコンデンサ)

これに交換したところ、上記の不安定な動作は一切なくなった!

やはり、コンデンサの性能不足(ESRが十分に低くない)により、電源ラインに100kHzとかの高周波ノイズが乗り、それによりサーボ系の制御回路が誤動作していたものと思われる。

Panasonic FCやTK UTWRZなどの低ESRコンデンサでもスイッチングレギュレータの2次平滑用としては役不足のようだ。

You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.

6 Responses to “EV-BS3000”

  1. (=゚ω゚) より:

    それは普通に力不足ていうんじゃね?

    ESRとか全然わからんけど

  2. (・Θ・) より:

    ESRというのは等価直列抵抗。

    理想のコンデンサとは違い、実際のコンデンサは内部抵抗があるんで、抵抗が直列で接続されてる、と思えばよい。

    この抵抗値がESR。
    理想はESR=0Ωだけど、実際にはある程度の抵抗値がある。

    Panasonic FCだと50mΩくらい
    日本ケミコン KZHだと15mΩくらい。

    抵抗があると、本来のコンデンサとしての役目を果たせなくなる。

    この場合、スイッチングレギュレータといって、高速でスイッチを入れたりきったりをして、特定の電圧を取り出す仕組みになってる電源ユニットなんだが、そのままでは出力電圧が急激に上下しまくってしまうんで、それを平滑にするためにコンデンサが使われてる。

    分かりやすく言えば、出力電圧がさざなみ状になってしまう。

    ~~~~~~←こんなかんじ

    で、これをコンデンサを入れてやると、このさざ波を平滑にすることができる。

    ---------←こんな感じ

    で、このさざ波を英語でリップルと言う。

    ESRが低ければ低いほど、このリップルがうまく除去できる。

    まぁこのほかに、ESLといってインダクタンス成分もあったりするんだが、この程度の周波数ではあまり関係ないので無視して良いレベルだろうから、今回は省略するかねとね。

    (・Θ・)

  3. tomtom より:

    >またつまらぬものを買ってしまった・・・
    →またつまらぬものを切ってしまった、のパロディですね。
    爆笑してしまいました。

  4. おやじ より:

    こんにちは。
    ここで紹介されている方法を参考にして映像回路のコンデンサを交換しジャンクBS3000を修理しました。
    とりあえず映像は復活したのですが、時々トラッキング不良と思われるノイズが出ることがあります。テープ走行が不安定なのかもしれません。

    >サーボ回路のコンデンサを交換して、テープ走行を安定化させて
    どの基板のコンデンサでしょうか。お手数をおかけしますが、どうか教えてくださいませ。

    よろしくお願いいたします。

  5. moni より:

    何年も前のことなので詳しくは忘れましたが、確かキャプスタンのモータ自体をバラします。

    モータの中にコンデンサが入っています。

    そんなことをやった記憶があります。

  6. おやじ より:

    返信ありがとうございました。

    早速キャプスタンのモーターをバラしてみました。メカの裏側にある基板をはずし、キャプスタンモーター基板のねじをはずし、軸を抜いて基板を確認しましたが、コンデンサらしき部品が見当たりません。キャプスタンモーター基板に接続されているコネクタをたどり、メカの裏側の基板に付いていた電解コンデンサ47μFを念のため交換しました。他にもいくつか交換してみました。現在様子見中です。これでも直らない場合はあきらめようと思います。

    ありがとうございました。

Leave a Reply

Powered by WordPress | Designed by: Free MMO | Thanks to Social Games, Game Music Soundtracks and MMORPG Wallpapers