HVに見る偏向報道

マスコミによる偏向報道はあらゆる分野で当たり前のように行われているのだが、最近ホンダがインサイトという激安ハイブリッド車を発売したことにより、余りにも分かりやすすぎる状態の報道が多いので、折角だから書いておくことにする。

まず前提として、マスコミは別に正義の味方の組織でもなく、真実を伝えるための機関でもなく、スポンサーからお金をもらって報道という名の提灯記事を書いて儲けている民間利益団体である、ということを良く認識する必要がある。

別にそれは悪いことではなく、見る側がそういうものだと思って見れば良いのだが、大半の人が大手マスコミは正しいことをきちんと偏ることなく報道している、と信じていることと、そう思っていることを分かった上で偏向報道をして人々の思想を間違った方向へ誘導したり、スポンサー側もそれを分かった上でCMという形の上納金により言論を自由に誘導していくということである。

今回はクルマという割とどうでもいい分野について語ってみるが、これはもっと重大な、あらゆる分野で行われている。

インサイトは発売直後から、最廉価グレードとはいえ189万円からという低価格戦略が受けて、 1ヶ月で計画の3倍の1万8千台の受注があった、という発表が10日にあった。

そしてトヨタはプリウスを1.8リッターに排気量を拡大した上で、インサイトより40~50万くらい高い価格で5月に発表予定だった。

この不況の時代にこれでは全く勝負にならないため、トヨタは現行プリウスの最廉価グレードの装備をさらに削減して価格を低下させ(といってもインサイトより高い)、新型プリウスと並売する、という作戦に出た、というのが最近までの状況だ。

この状況でどんな記事が出たか?

まず最初に、新型インサイトと旧型プリウスとの比較記事が出て、以下のような内容の報道が行われた。

・旧型プリウスの価格が下がればインサイトよりは高いものの、十分競合相手になる。
・ユーザーは5月にプリウスの価格が下がるまで待ってから判断した方が得策だろう。
・どちらも魅力的なクルマであり、プリウスが低価格で買えるのであれば、自分の気に入った方を選べば良いだろう。

というような、新型インサイトと旧型プリウスとを比較し、どちらを選んでも失敗ないだろうから、もう少し待ってから買うのが得策だと大々的にヤフートップにしばらく載っていた。

では、クルマにうるさいツチノコが比較記事を書いてみよう。

・トヨタの新型プリウス排気量拡大作戦は完全な失敗である。
・旧型プリウスの最廉価グレードをさらに装備を減らしても最新型のインサイトより高いとか、お話にならない。
・通常の車でも何年も前の旧モデルと出たばかりの最新モデルでは比較対象にならない。まして進化の著しいハイブリッド車では、数年前の技術で作られたプリウスと、最新技術のインサイトではガソリンエンジン車でいえば数十年分の技術差がある。
・そのため、たとえ価格が同じになったとしても、比較の対象にすらならず、事実上インサイト一択である。
・このままではトヨタは全く勝負にならないだろうから、恐らく新型プリウスの価格の見直しをするか、明らかにインサイトよりも上位のクルマとして差別化でもせざるを得ないだろう。

だが、このような内容の記事は一つもない。

さすが広告費用日本一のトヨタである。マスコミは間違ってもトヨタの悪口を書くことができないのである。

そして、遂にトヨタは新型プリウスの価格を30万円下げる決断に迫られた。
これがどう報道されたのかというと

・新型プリウス大幅値下げ決定で爆発的売れ行きか!

もうね、アホかと、アボカド。

正しくは

・新型インサイトの低価格戦略で予想外の爆発的売り上げを前にして、トヨタのHV戦略が大失敗。新型プリウスは発売前に異例の30万円価格引下げを余儀なくされる

である。

まさに物は言いようである。
つまり同じことを嘘をつかず、たとえ実際には悪い内容でも、良い内容であるかのように言うことができるのである。

この文章技術は今後論文に役立てたいところである、と思ったツチノコであった。

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